ボーナス100万円。
ニュースでその言葉を聞いた瞬間、思わずテレビを消した。
「過去最高額です。」
「大企業ではボーナス100万円超えが相次いでいます。」
「景気は回復しています。」
どこの国の話をしているんだ。
少なくとも、俺が生きている世界の話じゃない。
俺は40歳。
借金は2,000万円。
仕事もない。
2023年には逮捕され、人生は完全に狂った。
一度壊れた人生は簡単には元に戻らない。
毎日、自分が情けなくて仕方がない。
そんな俺に向かって、テレビは笑顔で「ボーナス100万円」と何度も繰り返す。
そのたびに思う。
まるで俺の人生なんて、この国には存在していないかのようだ。
今の俺にはボーナスどころか、今日を生き延びることしか考えられない。
母親は70歳を過ぎても最低賃金のパートに出ている。
本当なら俺が支える立場だった。
それなのに、今でも母親に支えられて生きている。
40歳にもなって。
情けない。
本当に情けない。
ニュースでは「頑張れば報われる」と言う。
努力すれば人生は変えられると言う。
だったら聞きたい。
一度転んだ人間は、どこでやり直せばいいんだ。
借金を抱えた人間は。
逮捕された人間は。
社会から落ちた人間は。
やり直す場所なんて、本当にあるのか。
俺には見つからない。
腹が立つのは、その一部だけを切り取って「みんな景気がいい」と言ってしまう社会だ。
ニュースを見れば景気回復。
賃上げ。
過去最高益。
そんな言葉ばかり並ぶ。
じゃあ俺は何なんだ。
借金2,000万円。
無職。
逮捕歴。
親に寄生して生きている40歳。
こんな人間は最初からいないことになっているのか。
テレビを見ていると、そんな気持ちになる。
「努力が足りない。」
「自己責任。」
そう言えば終わりなんだろう。
確かに、自分にも悪いところはある。
全部を社会のせいにするつもりはない。
でも、人生で一度転んだ人間に、この国はあまりにも冷たすぎる。
立ち上がる場所も与えず、「自己責任」の一言で終わらせる。
それが今の日本なんじゃないか。
ボーナス100万円。
俺には一生縁がないかもしれない。
それでも明日になれば、またテレビでは「景気は回復しています」と笑顔で伝えるんだろう。
そのたびに俺はテレビを消す。
そして築60年の実家の六畳間で天井を見上げる。
この国は、本当に俺みたいな人間にも目を向けているんだろうか。
最近は、そんなことばかり考えてしまう。

